最近観た映画レビュー「岬の兄妹」

2018年の邦画です。1時間29分。

とある地方の港町。足に障碍を抱え、リストラされたばかりの兄・良夫は、自閉症の妹・真理子と2人暮らしをしていた。妹の失踪癖に手を焼いていた良夫はある日、夜になっても帰ってこなかった妹が町の男に体を許して1万円をもらっていたことを知る。そして、良夫は罪の意識を持ちながらも、生活のためにと妹に売春をさせ、自ら客の斡旋を始める。

岬の兄妹 - Wikipedia

 

おだやかな休日の昼下がり、ふと観ようと思って観ました。そして後悔しました。結論としてはガチ鬱映画で、視聴後しばらく陰鬱とした気分になってしまいました。

上記のあらすじにも「足に障碍がある主人公」「自閉症の妹」に「売春をさせ」と、不穏なワードが散りばめられていますが、その不安な気持ちを裏切ることなくストーリーが展開していきます。視聴者が大体「こうなったら最悪だなあ」と過ぎったものは大体映画の中で実現します。恐ろしい。

また、映像的にもかなり生理的に気持ちが悪くなる(褒め言葉)要素が詰められていて、視覚的にもガッツリとダメージを与えてきます。例えば、障害者同士の(金銭の授受を前提とした)SEXの描写などなど。

で、この映画で一番驚嘆したのが演技です。特に、自閉症の妹役「和田光沙さん」の演技が圧巻。調べてみたところ、これで女優賞を受賞しているそうな(第34回高崎映画賞で最優秀新進女優賞)。超納得。

多分ですね、この映画を観て陰鬱な気分になるのは、彼女の演技をして視聴者に「可哀想」とか「非道い」と思わせるからでしょう、と個人的に思っています。それだけ彼女の演技が「本当に障害のある人のように見える」んですよ。つまり、「障害のある妹に、こんなことさせるなんて!」と道徳的・倫理的な感覚をさかなでられつつ、兄妹を取り巻く状況を鑑みるとどうしようもなく・・・・・・やるせない気持ちでいっぱいになります。これって、演技がどうしようもない人がやってたら、そう思わないんじゃないかなと。それほど凄いです。

ということで、鬱々とした気分になりたい人には超オススメです。

真面目に言うと「邦画で良質なものが観たい」っていう人に推せます。世の中で言うところの「有名俳優・アイドル」とかは出てないですが、演技派の演技を体感できます。

今回はここまで。